欲求をコントロールする方法【マズローの欲求階層説】




人にはたくさんの欲求があります。

食欲・性欲・睡眠欲といった三大欲求をはじめ、物欲や金銭欲、承認欲求まで、人には数えきれないほどの欲求があり、人は誰しも欲求に従いながら生きています。

 

ですが、生きていくためには欲求が欠かせないと言われても、欲求は時に自分にとって害悪になることもあります。

おそらくこの記事を読んでいる人は、自分の欲求によって嫌な経験をした過去を持っているはずです。

 

そこでこの記事では、心理学で有名なマズローの欲求5段階説の、

  • 生理的欲求
  • 安心の欲求
  • 社会的欲求
  • 承認欲求
  • 自己実現欲求

について解説し、さらに、欲求をコントロールする方法として、

  • 足るを知る
  • 幅広い視点を持つ
  • 本当に必要かどうか考える

の3つについて解説していきます。

自分の欲求をコントロールしたいと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。

 



マズローの欲求階層説

まずはしめに、人間の「欲求」について考えるときは、アメリカの心理学者であるマズロー氏の「欲求階層説」について知っておくことが大事です。

 

■マズローの欲求階層説

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引用:マズローの欲求5段階説│カイゼンベース

 

マズローの説では、人間の欲求は順番に満たされることで、どんどん次の欲求が湧いてくるという考えが元になっています。

図のように、一番下の生理的欲求が人間においてもっとも強い欲求であり、生理的欲求が満たされなければ、ほかの欲求は湧いてきません。

 

生理的欲求が満たされれば、次は安全の欲求が顔を出し、安全欲求が満たされれば、次は社会的欲求が湧いてきます。

 

マズローはこのように、人間の欲求が段階を経て湧いてくることを発見し、今では心理学的に「欲求5段階説」として幅広く知られています。

 

以下では、それぞれの欲求について、代表的なものを例に出して解説していきます。

 

【生理的欲求】食欲

マズローの第一段階の「生理的欲求」としては、食欲がもっとも身近な欲求です。

食べ物はお金以上に生きるために不可欠なものであり、多くの人にとって「おいしいものを食べる」のが大きな喜びの一つになっているでしょう。

 

お腹が減ればなにか食べたくなるのは、マズロー的に言えば人間に備わっている生理的な欲求であり、人は二週間程度なにも食べずにいれば栄養失調でコロっと死んでしまいます。

 

さきほどの欲求5段階説の図を見てもわかるように、食欲というのは、人間に備わっている欲求の中でももっとも最下層に位置する生理的欲求に属し、まずはこの生理的欲求を満たすことができなければ、次の層の欲求が湧いてきません。

 

お腹が減ったときの自分の行動を振り返ってみると、食欲が人間にとってどれだけ大きな欲求であるかがわかりますよね。

ダイエットで2~3日の間、ペットのような食事しか口にしていないような状態で、目の前にA5ランクのステーキが盛られた料理を目にしたときのことを考えてみましょう。

 

食べ物を口にしていない時間が長ければ長いほど、食欲に抵抗することは一層難しくなり、我慢できずにタガが外れた場合には、我を忘れたように食べ物を貪りだします。

 

人間を含むすべての生物の生活は、食欲に振り回されているといっても過言ではなく、まず第一に、お腹を満たすことができなければ何も行動を起こすことができません。

まさに「腹が減っては戦ができぬ」ということわざのとおりです。

 

しかし、現代にはおいしい食べ物がたくさんあるため、現代人は食欲を野放しに暴走させてしまうことが多く、食べ過ぎや暴飲暴食などが日常茶飯事になっています。

「欲求をコントロールしたい」と思っている人の中には、食欲をコントロールしたいと思っている人が一番多いのではないでしょうか。

 

【安全の欲求】金銭欲

人生や生活において、「お金」が大事であることは誰もが納得できますよね。

 

お金がなければ明日の生活さえ保証されず、充実した生活に欠かせない衣食住を満たすこともできません。

そうなれば、多くの人が生きることをつらく感じ、人生もつまらないものになってしまいます。

 

お金への欲求は、マズローの欲求5段階説で言えば、第二の階層である「安全の欲求」に当てはまります。

たまに「お金なんて必要ない」と綺麗ごとを言う人もいますが、お金はなくて困ることがあっても、たくさんあって困ることはありません。

 

お金は将来への不安を和らげたり、今の生活を充実させるために必要なものであり、なんだかんだ言って、たくさんお金を稼ぐこと自体は悪いことではないのです。

 

しかしそれは、お金ばかり求めていればいいというわけではありません。

多くの人は、お金が人生でもっとも大切なものと思い込んでいますが、その思い込みが強すぎるがために、お金がもたらす副作用のほうも増大させてしまっています。

 

心理学者であるダニエル・カーネマンは、著書「ファスト&スロー」において、「プロスペクト理論」「損失回避性」という概念で、人間の心理的な傾向について解説しています。

簡単に言えば、人は自分の損失をできる限り回避する傾向を持っているため、お金への欲求が強すぎることで、お金を失いたくないからと、人生で行動を起こすことを躊躇いがちになる、ということです。

 

つまり、お金を失いたくないという気持ちが、お金への依存心を生み出し、人を拝金主義者に変えてしまうのです。

お金への欲求は、欲求の5段階の2階に属しているため、人間にとっては比較的強い欲求だといえるでしょう。

 

【社会的欲求】恋愛

続いては、欲求の3段階目の「社会的欲求」についてですが、これがもっともわかりやすいのは「恋愛」です。

 

人によっては、恋愛こそ人生の醍醐味だと思っている人もいるでしょう。

 

仕事をしてお金を稼ぎ、最愛のパートナーと出会い結婚し、子どもを育てながら毎日家族とともに助け合いながら生きていく。

 

これこそ、多くの人が夢見る現代のライフプラン(人生計画)というものです。

「家族を持つ」「恋人をつくる」というのは、ある意味「自分の居場所を持つ」ということと同じです。

 

生きるために必要な必要最低限の生理的欲求が満たされ、次に金銭などの身の安全を保障する安心の欲求が満たされたとき、人は「社会に自分の居場所をつくりたい」という社会的欲求が湧いてきます。

 

もちろん、社会的欲求を満たす方法は恋愛だけに限りません。

職場が自分の居場所となっている人もいるでしょうし、学校や友達と一緒にいるときに、自分の居場所はここだと実感する人もいます。

 

社会的欲求の「社会」が表している範囲は大きく、家族や職場、友達や恋人でも、社会の中で「自分の居場所はここだ」と感じる瞬間があれば、それは社会的欲求が満たされているといえるでしょう。

 

多くの人にとっては、家族と恋愛がもっとも自分の居場所を実感できるものであるため、ここでは恋愛を取り上げて解説しました。

しかし、社会的欲求にも害となる側面はあり、恋愛で言えば、「恋は盲目」とはよく言われるように、人は恋愛にのめり込むことで、ほかのことを蔑ろにしてしまいがちです。

 

どの階層の欲求であっても、強すぎる欲求は害悪になってしまうのです。

 

【承認の欲求】SNS

欲求5段階説の4階層目は「承認への欲求」です。

 

これは、現代でSNSを使っている人ならお馴染みのものかと思います。

ツイッターやインスタに写真をアップしたりし、他人からいいねやRTをたくさんもらうことにより、「自分が必要とされている」「認められている」と感じる欲求のことです。

 

承認欲求という言葉が流行ったのは、アドラー心理学の「嫌われる勇気」という本がきっかけとも言われていますが、マズローの欲求階層説では、すでに承認欲求は人間の上層に位置する欲求であると判断されていました。

 

現代は特に、他人の目や世間体といったものを気にする人が多く、承認欲求は現代人にとってもっとも親しい友達といっても過言ではないでしょう。

どこかへ旅行に行ったり、おいしいものを食べたり、楽しいことをしたときに、写真をSNSに投稿してしまうのは、他人から「認められたい」「尊敬されたい」という心理の表れです。

 

承認欲求も過剰になればなるほど、小さなことでも他人からの反応が気になり、期待していた反応が得られなかった場合には、「自分は必要とされていない」と極端な考え方をしてしまいます。

 

現代人に鬱病になる人が多いのは、承認欲求が強すぎることが原因なのではと思っています。

 

【自己実現の欲求】理想

マズローの欲求5段階説の頂点は、「自己実現の欲求」です。

 

自己実現欲求はその名のとおり、自分が理想する姿を実現したいと思う欲求のことです。

この欲求は、下層の生理的欲求・安心の欲求・社会的欲求・承認欲求が満たされなければ湧いてきません。

 

衣食住が保証され、経済的にもそれなりに安定し、社会に自分の居場所を感じ、理解してくれる人間関係を持っていることで、はじめて自分が理想とする自己実現の姿を思い描きます。

 

仕事や人間関係もうまくいかず、わかり合える人たちもいなく、生活も安定しない人は、とにかく今を生きるのに精一杯です。

そうした人が、夢や目標に向かって頑張り続けることは不可能ではないにしろ、かなり難しいのが事実です。

 

もちろん、下層の欲求がすべて完璧に満たされていなければ、自己実現欲求は絶対に湧いてこないということではありません。

しかし、多くの人は下層の欲求がある程度満たされ、しっかりとした土台を持っていることで、自己実現を追い求めます。

 

自己実現欲求が頂点に君臨しているのは、ほかの欲求は比較的簡単に満たすことができますが、自己実現は人生をかけて達成していくものであり、そう簡単には満たせないからだといえるでしょう。

 



欲求をコントロールする方法

ここまでは、マズローの欲求5段階説について解説してきました。

 

では、それを理解した上で、どうやって欲求をコントロールすればいいのでしょうか。

個人的には、

  • 足るを知る
  • 幅広い視点を持つ
  • 本当に必要かどうか考える

の3つの方法で欲求のコントロールが可能だと考えます。

 

以下、それぞれについて解説していきます。

 

足るを知る

足るを知るというのは、「今の自分には足りないものはない」と理解する、という意味です。

 

実際、日本に住んでいて衣食住に困っている人はほとんどいません。

生活が苦しい人はいるかもしれませんが、着るものも食べるものもなく、今日寝る場所がない人はまずいないでしょう。

 

そうした意味では、日本に生まれ、日本に住んでいる時点で、すでに誰もが欲求5段階の1段階目、「生理的欲求」を満たしているのです。

 

世界にはもっとも基本的な生理的欲求が満たせていない人がたくさんいます。

そうした人たちと比べるのはおかしいかもしれませんが、この時代に日本に住んでいることがどれだけ恵まれているかを考えるのは、とても大切なことです。

 

足るを知るというのは、満足を知るということでもあります。

日本に住んでいる今の自分が、はじめからある程度満たされた環境にいることを考えれば、過剰な欲求を持つことも減るはずです。

 

「何事もより多く」は傲慢であり、欲求が強い人は、まずは今の自分が手にしているものに目を向けてみましょう。

 

幅広い視点を持つ

欲求をコントロールするには、一時的な感情に振り回されることなく、長期的な視点と幅広い視点を持つことが大切です。

 

たとえば、安心の欲求としての金銭欲は、人生はお金がすべてではないと理解すれば、お金をたくさん稼ぐことに対してそれほど魅力を感じず、もっと自分の時間や大切な人と過ごす時間を確保しようと思うでしょう。

 

人生が仕事とお金を稼ぐだけになると、毎日が無味乾燥したものになってしまい、生きていてもあまり楽しくありません。

人生はお金では買えないもので溢れています。それを知るためにも、常に幅広い視点を持つことが大事なのです。

 

承認欲求にしても、他人から認められることだけが人生ではありません。

人の目ばかり気にしていては、やりたいことができなかったり、いつも他人にどう思われるかばかりを考えて行動してしまいます。

 

そうした生き方が楽しいかどうかは、考えなくてもわかるはずです。

 

幅広い視点を持つというのは、自分の周りの世界だけでなく、人生という観点から物事を考えるということでもあります。

 

自分の中の欲求が強くなっているときは、盲目的に欲求に飛びつくのではなく、視点を変えることでうまくコントロールできるようになります。

 

本当に必要かどうか考える

欲求5段階説では、下層の欲求ほど抗うのが難しく、上層の欲求は比較的冷静に対処できます。

 

食欲・睡眠・性欲の三大欲求は誰もが抗いがたく、そう簡単にコントロールできる欲求ではありません。

 

きっとこの記事を読んでる人の中にも、「食欲を抑えたい」「眠気を我慢したい」「性欲をどうにかしたい」と思っている人も多いでしょう。

 

実際、三大欲求をコントロールするには、さきほど解説した「足るを知る」「幅広い視点を持つ」だけでは足りません。

そのさらに先、自分に「本当に必要かどうか考える」ことが重要になります。

 

たとえば食欲においては、現代では多くの人たちが不必要に食べ過ぎており、ジャンクフードや甘いものなど、栄養のないものばかり食べて無駄に体を壊していると言えます。

カロリー面で考えれば、どう計算しても必要ない分まで余分に体に食べ物を入れているのです。

 

食べることは生きるために必須ですが、必要のない分まで食べる必要はありません。

これはさきほどの「足るを知る」という考えにもつながります。

 

より多く食べることを喜びとするのではなく、ただ毎日食べられることを喜びとするのです。

そうすれば、なんでもかんでも食べ漁ることも減るはずです。

 

欲求をコントロールしたいと思うのであれば、欲求を満たす前に一歩引いて、「これは本当に自分に必要なのか?」を考えてみるようにしましょう。

 

【まとめ】欲求のコントロールは人生の充実に不可欠

この記事では、マズローの欲求5段階説として、

  • 生理的欲求
  • 安心の欲求
  • 社会的欲求
  • 承認欲求
  • 自己実現欲求

について解説し、さらに、欲求をコントロールする方法として、

  • 足るを知る
  • 幅広い視点を持つ
  • 本当に必要かどうか考える

の3つについて解説してきました。

 

欲求は人間にとって必要不可欠なものではありますが、欲求を満たすことだけを考えていては、自分にとって害悪になることが多いです。

欲求は暴走させるものではなく、コントロールするものなのです。

 

欲求をうまくコントロールできれば、今よりも充実した毎日が送れるようになります。

人生を無駄にしないためにも、ぜひ欲求をコントロールする方法を学んでみましょう。

 

おしまい。








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